大阪大学大学院生命機能研究科ダイナミックブレインネットワーク研究室の北澤茂教授と同学国際医工情報センターの井上雅仁特任准教授は、大脳皮質の頭頂葉が、手を伸ばす運動の誤差の原因が自分である場合と相手である場合を区別して修正用の信号を発していることを発見した。

 練習を繰り返すと運動がうまくなるのはなぜか。それは、運動の「間違い」を減らすように脳が学習するからだといえる。しかし、「間違い」には自分の運動制御の不手際が原因の場合(運動誤差)と、相手の想定外の動きが原因の場合(目標誤差)の2種類がある。原因によって、異なる学習をしなければならない。
そこで、北澤教授らの研究グループは、脳が果たして運動誤差と目標誤差を区別して学習しているのか、サルの頭頂葉に狙いを絞って調べた。

 まず、サルに目の前に現れる十字の目標に向かって手を伸ばさせた。その時に、プリズム装置を使って視野をずらす工夫をした場合(運動誤差条件)と、運動中に目標をランダムな方向に移動させた場合(目標誤差条件)で条件を設定。この2つの条件で、頭頂葉のニューロンの活動を記録した。

 その結果、ブロードマン5野と呼ばれる領域は運動誤差を検出して修正用の信号を送り、ブロードマン7野は目標誤差を検出して修正用の信号を送ることがわかった。

 本研究により、脳は手と目標の誤差を機械的に検出しているのではなく、自分が原因の運動誤差なのか、相手が原因の目標誤差なのかを区別し、別々のシステムで修正していることが実証された。
この成果は、スポーツの効果的な学習法の開発や、自動運転やロボット制御の効果的な学習調整法の開発につながることが期待される。

論文情報:【Current Biology】Motor error in parietal area 5 and target error in area 7 drive distinctive adaptation in reaching

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