奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は、株式会社IMAGICA GROUPと株式会社オー・エル・エム・デジタルと共同で、アニメ制作工程の1つである「色を塗る」業務を自動化するための技術を開発した。

 日本におけるアニメ作品の制作数は年々増加している。しかしながら、アニメーターの数は頭打ちであり、制作の効率化・自動化が急務となっている。この問題を解決するため、本研究チームは、アニメ制作フローの仕上(完成した動画に色を着彩する工程)の自動化を目指した。

 IMAGICA GROUPとオー・エル・エム・デジタルが持つ「アニメ制作技術と知見」、そして、NAISTがもつ「機械学習やコンピューターグラフィックス・コンピュータービジョンの基盤技術」を融合し、ディープラーニング技術を用いて、日本のアニメ制作に特化した世界初の自動彩色技術の開発に成功した。

 本技術は、「キャラクターの色を定義する設定表」と「彩色前の絵」を入力とする。そして、物体認識用のディープラーニング技術を駆使して、画像の領域を抽出し、自動彩色を行う。さらに、精度を下げる要因となる情報を自動彩色の前段階で削除したり、逆に、自動彩色後に、予定の領域をはみ出して色塗りがなされてしまった場合の補正技術を追加することで、彩色結果の改善を図った。

 本成果は、現在、予備研究段階であり、更なる精度の改善を行い、アニメ制作スタジオでの実証実験を実施し、2020年を目標に実用化を目指すとのこと。

参考:【奈良先端科学技術大学院大学】IMAGICA GROUP、オー・エル・エム・デジタル、奈良先端科学技術大学院大学がディープラーニング技術を使ったアニメの自動彩色技術を開発

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。