岡山大学の上原孝教授らは細胞内でセンサーとして働くたんぱく質が、多量に産生された一酸化窒素(NO)によって変性することで神経細胞が自殺(アポトーシス)を起こす仕組みを解明しました。
パーキンソン病やアルツハイマー病などの疾患で新たな治療法を開発する指針になるかもしれません。

 NOは体内で血圧の調節や記憶の形成などに関わっていて、常時適量が産生されています。しかし細胞に負荷がかかった際には持続的に過剰量が産生され、たんぱく質の変性を引き起こしてしまいます。こうして生じた変性たんぱく質はパーキンソン病やアルツハイマー病で亡くなった患者の脳からも検出されます。上原教授らはこのことから一酸化窒素とこれらの病気との因果関係を指摘してきました。
 研究グループはパーキンソン病などの発症メカニズムを分子レベルで解明することを目指して、NOがどのようにたんぱく質に作用しているのかを調査しました。注目したのは変性たんぱく質を検出し、その情報を核に伝える役割を担っているセンサーです。通常は修復不可能なほどにたんぱく質が変性してしまうと、それを検出してアポトーシスを起こすために核に情報を送ります。ところが変性たんぱく質を検出しなくても、NOがもつ酸化作用によってセンサーが反応し、アポトーシスを起こしてしまうことが明らかになったのです。

 このことからNO以外の酸化作用を持つ物質でも同様のメカニズムでアポトーシスが誘発されることが予想されます。また酸化作用を抑制する薬物の投与によって細胞を保護する効果が期待でき、今後パーキンソン病やアルツハイマー病の治療方法において新たな戦略の一つになるかもしれません。

出典:【岡山大学】一酸化窒素による神経細胞死の機構を解明

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大学ジャーナルオンライン編集部

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