岡山大学大学院の甲賀研一郎教授の研究グループはカーボンナノチューブ内部に閉じ込められた水の挙動を分子シミュレーションで解析を行い、固体と液体の区別がなくなる固液臨界点が存在することを世界で初めて示しました。物質の三態のうち、液体と気体の区別がつかなくなる気液臨界点は既に知られていますが、固液臨界点はどの物質でも見つかっていませんでした。

プレスリリースより

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分子シミュレーションは物質を構成する原子一つ一つに作用する引力や斥力をコンピュータで計算することで、物質中の原子や分子の動きを再現する方法です。実験での検証が困難な現象の解析をしたり、実験に先駆けて現象を予測する際に大きな力を発揮します。甲賀教授らはこの方法で圧力と温度を様々に変化させたとき、カーボンナノチューブ内に閉じ込めた水分子がどのような挙動を示すかを調べました。その結果、1000気圧から数十万気圧という高い圧力をかけた時に液体と固体の区別ができなくなるような挙動を示すことが明らかになったのです。世界で初めての固液臨界点が存在する証拠の発見でした。

今回の発見はコンピュータシミュレーションによるものですが、実際に観測できる可能性が高いようです。もしこの状態を実験で実現することができれば、固液臨界点がもつ条件でしか起こらない化学反応を開拓することができるようになると期待されています。また、カーボンナノチューブの熱伝導率が急激に変化することも予測されていることから、内部に閉じ込めた物質の状態変化を使って熱伝導率を制御することも可能になるのではないでしょうか。

出典:【岡山大学】存在が否定されていた固液臨界点を世界で初めて発見 ナノ空間における水の分子シミュレーション

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大学ジャーナルオンライン編集部

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