財務省が国立大学法人の運営費交付金削減を提案している問題で、国立大学協会(会長・里見進東北大学長)は、通常総会で「地域と国の発展を支え、世界をリードする国立大学」と題した決議を採択、国に2016年度予算編成で運営費交付金の拡充を求めるとともに、税制改正で所得控除、税額控除の選択制度導入を要求しました。

 決議では、国立大学が地域の文化、社会、経済を支える拠点、社会や世界に開かれた学生の学びの場、多様な価値を創造する研究の源泉として確固たる実績を残してきたとしたうえで、政府の日本再興戦略や国立大学経営力戦略、経済財政運営と改革の基本方針で、わが国の持続的な成長、発展の実現のために、大きな期待を寄せられていると指摘。国立大学協会も9月、世界に開かれた高等教育機関として国立大学の将来ビジョンに関するアクションプランを公表、自律的な改革を進めていると現状を説明しています。

 財務省が国立大学の運営費交付金を年次的に削減し、授業料など自己収入の増加を求める考えを示したことに対し、改革の実現を危うくするだけでなく、経済状況による教育格差の拡大を招きかねないと強く批判。十分な予算措置と国立大学への寄付を増やすために税制改革に着手するよう訴えています。

 財務省は10月の財政制度等審議会で国立大学の運営費交付金を今後15年間で毎年1%ずつ機械的に減らす考えを示しました。しかし、国立大学は過去12年間で約12%、1,470億円もの交付金を削減されており、既にこの方針に強く反発する声明を発表しています。

出典:【国立大学協会】地域と国の発展を支え、世界をリードする国立大学!!(決議)

大学ジャーナルオンライン編集部

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