九州大学の中島欽一教授らの研究グループは東北大学、星薬科大学、国立医薬品食品衛生研究所はマウスを用いた研究で、胎児期に母親に投与された抗てんかん薬が成長後の脳に与える影響を明らかにしました。またその改善方法として自発的な運動が有効であることも発見しました。

 てんかんは神経細胞が過剰に興奮することで痙攣などを起こす慢性の神経疾患です。てんかんを持つ妊婦においては発作の予防を目的に抗てんかん薬が投与されます。催奇形性についての研究は盛んに行われてきた一方で、長い目で見た際の脳の成長に与える影響に関しては研究が遅れています。例えば抗てんかん薬の一つであるバルプロ酸(VPA)を投与された妊婦から生まれた子供は、そうでない子供に比べて認知機能が低下することが報告されているものの、原因などの究明はなされていません。

 てんかんを持つ女性が安心して妊娠、出産するためにはこうした原因を解明し、対処法を開発することが不可欠です。グループは妊娠したマウスに対してVPAを投与する実験を行いました。脳の発達の過程では神経細胞の元となる幹細胞が適切な速さで神経細胞に分化しなければなりません。しかしこのマウスでは通常よりも多くの神経細胞が生じ、神経幹細胞が枯渇した状態になることを発見しました。これによって必要な段階で神経細胞の新生ができずに学習・記憶障害を引き起こしていたのです。さらにこうして生まれたマウスに回し車による自発的な運動を行わせました。すると神経差幹細胞が増殖し、脳の機能的な異常が改善できることが明らかになりました。

 この知見をヒトに応用するためには検討すべき点が数多くあります。またメカニズムをより詳細に調べることで自発的運動以外の改善方法も探っていくとしています。ヒトへの影響の詳細や対処法が明らかになれば、治療をしながら出産をする際の選択に新たな指針を与えてくれるでしょう。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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