東京工業大学の細野秀雄教授、原亨和教授らはアンモニア合成に用いる触媒の活性を10倍以上も高めることに成功しました。肥料の原料となる他、水素エネルギーの担体としても注目され始めたアンモニアをより効率的に生産することができるようになるかもしれません。

 窒素は生物が生きていく上で欠かせないタンパク質の材料となる物質です。空気中に大量に存在しますが、根粒菌という一部の生物を除いて空気中の窒素を直接利用する方法は自然界にはありませんでした。これに対して、1906年にドイツのハーバーらは窒素と水素を500℃の高温、500気圧の高圧にすることでアンモニアを作る技術を開発しました。多量のエネルギーを消費するものの、空気中の窒素が利用可能になったことで、肥料の大量生産が可能になりました。アンモニアの製造は100年以上にわたり人類にとって重要な技術となっていますが、近年では水素社会の本格化に向けた水素運搬用の物質としての利用も検討され始めています。エネルギーとしての利用に伴い、製造にかかるエネルギーを低減することが重要な課題となってきました。

 このために注目されているのが低温・低圧下でアンモニアの合成が可能な触媒です。C12A7エレクトライドという物質は常圧でもアンモニア合成が可能な触媒です。しかし反応の促進効果が不十分であり、生産効率が悪いという問題を抱えていました。そこで、グループは触媒の表面にルテニウムという金属を散りばめることで、触媒内部の電子の動きを高めました。この処理を施した触媒の効率を測定したところ、10倍以上の触媒活性を示すことが明らかになったのです。

 アンモニアといえば強烈なにおいが印象的ですが、産業においては非常に重要な物質でもあります。そして、水素社会への移行に向けてその重要度は益々高まると予想されています。その需要に堪えるようになるほか、肥料の製造コストの低減にも貢献することと期待されます。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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