2020年度に導入予定の大学入試新共通テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で採用される記述式問題について、文部科学省はたたき台となる出題イメージ例4問を、新入試の制度設計を進める専門家会議に初めて提示しました。委員から「高校教育が変わる」と内容に高い評価が出たものの、採点方法やコストについて懸念の声も相次ぎました。

 文科省によると、提示された出題イメージ例は国語3問、数学1問。国語の出題例は▽警察庁の交通事故統計に基づく発生件数、死者数、負傷者数のグラフから仮説を立てさせる▽3つの文章を読み取り、解決法を考察する▽1,400字程度の新聞記事を読ませ、自分の考えを200~300字で表現する―で、数学の出題例はスーパームーンに関する記事などから、満月を観測してフィルムに写し取った月の直径について、三角比を用いて答えるものとなっています。

 学力評価テストは、現在の大学入試センター試験に代わって導入されます。センター試験で出題している選択式問題に加え、思考力や表現力、判断力を評価するための記述式問題を採用し、当面は国語、数学で優先的に出題することを検討しています。

 専門家会議で問題の中身について異論は出ませんでしたが、受験者ざっと50万人分の採点を誰が担当し、公平性をどう担保するのかに対し、疑問の声が続出しました。専門家会議は3月末までに最終報告をまとめる予定で、今後記述式試験を先に実施して採点し、後から選択式試験を行う分割方式や、新テストの問題作成、運営を教育関連会社と連携することを検討していきます。

参考:【文部科学省】高大接続システム改革会議(第9回)配布資料

大学ジャーナルオンライン編集部

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