京都大学の吉田善紀講師らの研究グループはヒトiPS細胞から作った心筋細胞を移植するために最も効率のいい条件を見出しました。損傷を受けた心臓機能を回復させる治療に道が拓けることになりそうです。

 心臓病は心臓移植でしか治療できないというケースも少なくありません。しかしながら心臓の提供数は少なく治療を受けられない患者が数多く残されています。そのため心臓移植に代わる新しい治療法の確立が望まれています。これまでにヒトiPS細胞から作った心筋細胞によって損傷を補う試みは一定の成果を上げていましたが、細胞の着生能力が低く改善の余地が残されていました。そこでグループが考えたのは心筋細胞を作る多くの過程の中の適切な段階で移植をすることが必要ではないかと言うことでした。

 これを調べるためにグループは、心筋細胞への分化を始めてから4日目、8日目、20日目、30日目の段階にある細胞をマウスの心臓に移植しました。その経過を2カ月にわたって観察したところ、分化を開始してから20日目の細胞が最も高い生着率を示しました。引き続き経過を観察したところ、6カ月経過すると心筋に特徴的な構造を持っていたことから、長期間にわたって成熟が進んでいることも明らかになりました。
 この成果によってiPS細胞から作った心筋細胞を移植するにあたって最も効果的な段階を特定することができました。また今回の知見から今後詳細に経過観察も盛んに研究されるようになることが期待できます。iPS細胞を使った心臓病治療法の確立に向けて研究が加速していきそうです。

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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