岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)の中野龍平教授、福田文夫准教授らの研究グループは、東アジアに向けて日本産高級モモの輸出流通システムを確立しました。

 東アジア地域では、年中行事である中元節、中秋節で贈答を送る習慣があります。日本の果物のモモも贈答品として好まれており、需要が高い中、日持ちしない、輸出方法が空輸による長距離輸送であること及び収穫できる期間が短いこと等の理由から、安定して輸出できませんでした。また、モモを5℃以下で貯蔵すると低温障害を生じてしまいます。

 今回の研究では、「おかやま夢白桃」の果実を用い、温度管理と低温障害の解明に取り組みました。その結果、0℃付近で保持し、2週間後に常温に移すと低温障害が発生せず熟すこと、10℃付近で保持するとゆっくりと柔らかくなり、2週間程度で食べ頃になることがわかりました。これらの特徴から、実際に東アジア地域へ輸出する際の流通システムの構築に取り掛かりました。この流通システムでは海上輸送、氷温貯蔵、空輸を組み合わせています。
まず、1℃設定、10℃設定のコンテナを用いて輸出試験を実施しました。その結果、品種や収穫熟度によって、輸出後の果実の状態が異なることから、品種や特性に合わせて輸出方法を変えることが必要であることがわかりました。これをうけて、品種と収穫時期別に輸出試験を実施しました。その結果、早期収穫する品種の海上輸送では、流通や貯蔵前に2、3日間熟度を調整することで、収穫直後に空輸した果実とほぼ同じ状態で輸出することができました。ただし、早期収穫する品種の中でも、渋みがでやすいものについては、低温コンテナを用いた方法より、空輸のほうが適していることがわかりました。また、収穫後空輸前に氷温貯蔵することで、販売時期の調整をできることがわかりました。

 今後、岡山大学では、輸出用の晩成品種を栽培し、実用性を広めていくこと及び現地バイヤーの協力のもと、モモ輸出モデル事業を行っていく予定です。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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