SF作家小松左京さん(1931~2011年)の著作権管理をする「小松左京ライブラリ」(神戸市)は、人工知能を研究する公立はこだて未来大学に全作品のテキストデータを提供しました。人工知能による長編小説の執筆は難しいとされますが、松原仁教授らのグループが分析用の資料として活用します。

 小松さんが映画「さよならジュピター」制作のために設立したイオ(東京)によると、提供したテキストデータは「日本沈没」、「首都喪失」、「果てしなき流れの果に」といった長編小説に加え、短編小説、エッセー、阪神大震災の取材記録、1970年の大阪万博、1990年の国際花と緑の博覧会をつづった「巨大プロジェクト動く」など多岐にわたります。

 松原仁教授らのグループは2012年から短編SF小説の神様といわれる星新一さん(1926~1997年)の1,000作品を解析し、人工知能に短編小説を創作させる研究を進めています。このプロジェクトでは2017年ごろに新作の発表を計画中です。
小松さんがデビューして以来、星さんと親交があり、作品と人柄を敬愛していたことから、星作品と毛色の異なる小松作品を提供し、人工知能研究に生かしてもらおうと遺族らが提供を申し出ました。

 人工知能を利用した将棋や囲碁のプログラムは既に開発され、局面に応じた駒の配置や形勢の優劣を数値化して勝ちにつながる手を選択することが可能となりました。しかし、小説のように人間の感性を解析してプログラム化するのは難しく、長編になればなるほど難易度が上がるとされています。ライブラリを運営する小松さんの遺族らは、未完の遺作「虚無回廊」を人工知能が完成させることを期待しています。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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