北里大学の佐藤亮平講師と元日本女子大学理学部(現人間総合科学大学人間科学部)の藤原宏子講師らの研究グループは、セキセイインコに、行動面でも脳の働き方でも性差があることを発見しました。今回の研究は、鳥大脳のヒト言語野類似領域において大脳半球優位性の性差を示した、鳥類で世界最初の報告となります。

 鳥類の中でオウムの仲間とスズメの仲間、およびハチドリの仲間は発声学習能力を持ち、ヒト言語を生物学的に理解する上で優れたモデルと考えられています。中でもオウムの仲間であるセキセイインコは、ヒト言語を模倣するなど人間の言語学習・音声コミュニケーション学習行動の理解への卓越したモデルになるとされています。そこで、つがいを組んだセキセイインコの配偶者への発声行動と、その行動の源泉である脳内の神経基盤の性差を探る目的で本研究を行いました。

研究では、オスとメスを人為的につがいにして5週間飼育した後つがいを解消し、配偶者とそうでない異性の声を交互に聞かせてどのように返答するかを比較。その際高次聴覚中枢であるCMMという領域を調べてみると、配偶者の声を聞かせた時は、無音状態に比べ、メスでは左右大脳半球とも高い活性を示しましたが、オスでは、配偶者の声を聞かせた時、CMMの右大脳半球側でのみ活性が上昇していることがわかりました。

 ヒト脳における言語機能には性差があることが知られています。このため、ヒト感覚性言語野(ウェルニッケ野)に類似した鳥類の神経行動学的研究は、ヒト言語機能に見られる性差の生物学的基盤や脳の側性化機序の解明につながります。さらにセキセイインコの発声学習機序の神経基盤を解明することは、失語症などの高次脳機能障害の病因解明への貢献が期待されています。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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