九州大学の伊藤早苗教授、核融合科学研究所の井戸毅准教授らの研究グループは核融合研究所の大型装置で発見されたプラズマの中で突発的に起こる現象のメカニズムを解明しました。

 現在、世界で使われる原子力エネルギーのほとんどは巨大な原子核が分裂する際に発生する膨大なエネルギーを利用しています。一方、水素原子が持つ小さな原子核の融合では核分裂のエネルギーより遥かに大きなエネルギーを生み出します。また、核分裂反応では分裂した原子核の残骸が放射性廃棄物として出てくるのに対して、この方法ではほとんど廃棄物が出ないというメリットもあります。ところが核融合反応を完全に制御しながらエネルギーを取り出す技術はまだ確立されていません。実用化に向けて研究が進んでいる技術の一つにプラズマ核融合があります。プラズマ化した水素を磁気で圧縮することで原子核同士を融合させるのです。ところが磁気で閉じ込め、数千万度にも熱せられたプラズマは予期せずに漏れ出し炉を傷める問題が生じています。対策を取るにはどのようなメカニズムでこのような漏れが起こるのかを明らかにしなければいけませんが、数十年もの間謎のままになっていました。

 数千万度にも達する高温の減少を調べることは非常に困難です。そこで新たな測定装置を開発しました。非常に重いイオンをプラズマに向けて高速で打ち出し、プラズマ中を通過したイオンを調べることで内部の状態を探る方法です。これによって高温のプラズマ内部で突発的に大きな揺らぎが発生することを突き止めました。さらにこの揺らぎ現象を説明するために新たな理論を提案しました。

 今回提案した理論により揺らぎの発生予測が可能になれば、炉を傷めてしまう問題を解決する大きな手掛かりとなるでしょう。放射性廃棄物の問題から是非が分かれる原子力ですが、将来核融合炉が実現すれば見方も変わってくるかもしれません。

九州大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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