藤田保健衛生大学精神神経科学の岩田仲生教授、大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授、理化学研究所の莚田泰誠グループディレクターらの研究チームは、ゲノム解析を通じて統合失調症の治療薬の重篤な副作用であるクロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症を引き起こす可能性の高い遺伝子の型を特定しました。

 統合失調症の患者は国内推計80万人、そのうち20~30%は一般的な抗精神病薬では改善が認められない治療抵抗性統合失調症の患者であり、クロザピンという薬が唯一の有効な薬剤とされています。しかし、副作用として白血球の一種の顆粒球が急激に減るクロザピン誘発性無顆粒球症という重篤な病態の出現率が1~2%あり、ほとんど普及していないのが現状でした。

 研究チームは、クロザピンの副作用で顆粒球がなくなった、もしくは少なくなった患者50人と、健常者2905人の全ゲノム(遺伝情報)解析を行いました。その結果、数万通りある白血球の遺伝子の中から重篤な副作用が起きるリスクを約10倍に引き上げる型が特定されました。

 遺伝子検査を併用した投薬治療の臨床試験は2016年度より始める予定とされていますが、今後、本研究結果をもとに臨床研究が進められ、科学的根拠が蓄積されることにより、今回特定された遺伝子型を発症予測のマーカーとして臨床に応用できる可能性があります。また、この遺伝子型の機能解析を行うことで、より安全な投薬治療だけでなくクロザピン誘発性無顆粒球症・顆粒球減少症の病態解明、さらには新たな薬剤の開発にも役立てられることが期待されます。

大阪大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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