東京大学医科学研究所の山崎聡助教、中内啓光教授(スタンフォード大学兼任)とスタンフォード大学 のJames Y. Chen、宮西正憲研究員、Irving Weissman 教授らの共同研究チームは、骨髄を透明化することで生体内の全血液細胞を作る造血幹細胞の所在を可視化することに成功しました。白血病患者に行われる骨髄移植など、造血幹細胞を用いた新規治療法の開発の進展が期待されます。

 造血幹細胞は生体内すべての血液細胞を供給する組織幹細胞のひとつで、骨髄移植という形で臨床応用されている重要な幹細胞です。骨髄移植をより安全に行うために造血幹細胞を人為的に増やす研究が進められており、その上で造血幹細胞が骨髄のどこにあるのかを知ることが重要となりますが、場所を特定する方法はこれまで開発されていませんでした。

 同研究チームは、造血幹細胞で特異的に発現する「Hoxb5」という遺伝子を同定。また、ゲノム編集技術により赤く光る蛍光タンパク質を造血幹細胞内で特異発現させたマウスの作製に成功しました。そのマウスの骨髄から細胞を分取し、放射線を蛍光強度に分けて照射したマウスに移植した結果、すべての血液細胞を長期間供給する造血幹細胞だけが強い蛍光を示すことが分かりました。
さらに研究チームは、日本の研究チームが開発した技術を用いて骨髄の透明化にも成功し、最新のシートレーザー顕微鏡3次元イメージング技術によって、骨髄内の血管周囲に骨髄の再構築を長期間可能とする造血幹細胞が局在していることも明らかにしました。

 本研究結果によって造血幹細胞の動態理解が進み、骨髄移植など造血幹細胞を用いた新規治療方法の開発が加速し、安全かつ新しい血液疾患の治療法開発につながることが期待されます。また、多能性幹細胞から血液細胞を分化・誘導させる研究においても大きな知見になると考えられます。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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