東京大学大学院理学系研究科天文学専攻の戸谷友則教授を中心とした国際研究チームは、オーストラリアのパークス電波天文台が発見した「高速電波バースト(FRB)」をすばる望遠鏡で追観測することで初めてFRBが発生した銀河を突き止め、その距離が50億光年ということ、FRBが巨大な爆発現象であることを明らかにしました。この研究はカブリ数物連携宇宙研究機構、国立天文台、オーストリアのパークス天文台などの共同で行われ、研究成果はイギリス科学誌「Nature」に発表されました。

 FRBとはきわめて短時間に電波がフラッシュのように出される現象で、2007年に観測。観測された電波の特徴から、銀河系の外50~100億光年という距離からきていることは示唆されたものの、その正体は不明でした。

 戸谷教授らはすばる望遠鏡でFRBを追観測する日本チームを立ち上げ、FRBを検出したオーストラリアのパークス天文台との共同観測プロジェクトをスタートさせました。2015年、おおいぬ座付近で発生したFRBについて、オーストリアのグループが観測したFRBの残光と見られる電波の来た方角をすばる望遠鏡で撮影したところ、地球から約50億光年離れた銀河を発見。FRBの発生源であることを突き止めました。

 この結果は宇宙論的な問題にも大きな示唆を与えました。宇宙に存在する星や銀河団など観測可能な物質を総称して「バリオン」と呼びますが、全バリオンのうち星やガスになっているのは10%程度といわれます。残りについてはどのような形で存在しているのか謎であり、「ミッシングバリオン問題」と呼ばれていました。これについてバーストによる電波を解析したところ、50億光年先から地球に届くまでの間の宇宙空間に分布する電子の数を計算することができました。これは、「バリオンのほとんどが見えない銀河間物質として存在する」という説を裏付けるものです。

 本成果をきっかけに、この謎に満ちた天体現象の研究が世界的にますます活発化することが期待されます。また宇宙論研究への応用を目指し、研究が大きく発展することが期待されています。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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