東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科疾患多様性遺伝学分野の岡田随象テニュアトラック講師らの研究グループは、遺伝統計解析手法「MIGWAS」を開発したと発表しました。MIGWASは疾患ゲノム情報に基づいてバイオマーカー候補となるマイクロRNA(miRNA)をスーパーコンピューター上でスクリーニング(選別)する手法です。

 マイクロRNAは生体内にある機能性小分子RNAで、特定の遺伝子に結合して、遺伝子からタンパク質への翻訳過程を制御するとされ、悪性腫瘍や免疫関連疾患などに対するバイオマーカーや治療標的としての役割が期待されています。しかし、数千種類あるマイクロRNAからバイオマーカーとして有望なものを選び出すには、これまでより網羅的で大規模なヒト疾患ゲノム解析技術を背景とした新しいスクリーニング手法の開発が望まれていました。研究グループは、大規模ヒト疾患ゲノム解析の結果とマイクロRNAが構成するネットワークを検討する遺伝統計解析手法を開発し、疾患ゲノム情報に基づく網羅的なマイクロRNAスクリーニングを可能にしました。

 今回、既存のゲノムビッグデータ(18 形質、175 万人以上)の解析結果に MIGWAS を適用すると、関節リウマチ、腎機能、身長を含むヒト形質の遺伝的背景にマイクロRNAが寄与していることが判明。国際論文データベース(NCBI PubMed)を用いた疾患ごとの分析結果(テキスト・マイニング)とも有意な相関関係が認められ、MIGWAS の妥当性を示唆しています。また、新たな関節リウマチ感受性遺伝子(PADI2)とその機能を制御するマイクロRNA(miR-4728-5p)を同定しました。

 研究グループは、従来の機能性実験に基づくスクリーニング手法と組み合わせることにより、疾患病態の解明や新たな核酸創薬に貢献でき、また、ゲノムビッグデータ分野における効果的なデータ共有と再利用の促進にも寄与するものとしています。

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