京都大学の生命科学研究科布施直之研究員、理学研究科阿形清和教授らの研究グループは、暗黒バエのゲノム解析を行い、環境適応に関わるゲノム配列を絞りこむことに成功しました。環境適応のメカニズムに迫るものとしています。国立遺伝学研究所との共同研究による成果です。

京都大学では、1954年から61年間、ショウジョウバエを1500世代に渡って暗闇で継代飼育しており、「暗黒バエ」と呼ばれています。外観は普通の野生型ハエと変わりませんが、暗所で野生型ハエより優位に子孫を残すことから、暗闇に適応しているとされました。ゲノムの塩基配列のうち1塩基が異なる現象を1塩基多形(SNP)といい、多様性を生む要因とされていますが、以前の研究で、暗黒バエの全ゲノム配列を決定し、約22万のSNPを同定しました。しかし、どのSNPが暗闇適応に関与しているのかが不明でした。

今回、暗黒バエと野生型ハエの混合集団を明所と暗所で継代しました。継代を繰り返すと両者のゲノムが混合し、暗闇適応に関わるSNPが、暗所集団で頻度が上昇すると予想されました。ゲノム解析により、暗黒バエ SNP の頻度変化を調べると、約 6%のゲノム配列が暗所で選択されており、暗闇適応に関わる候補遺伝子として 84 遺伝子が同定されました。この中には、嗅覚や概日リズムに関わる遺伝子などが含まれていました。

「暗黒バエ」の環境適応に関わる候補遺伝子をリストアップした成果に加え、混合集団を異なる環境で継代することで環境適応に関与するゲノム配列を絞り込むという実験例を示し、環境適応の研究に新しい方法論を提案しました。今後、暗黒バエの遺伝子発現の解析結果とゲノム解析の結果を統合して適応遺伝子を同定し、また、暗黒バエのSNPを野生型ハエのゲノムに導入することで暗黒バエSNPの影響を検証したいとのことです。

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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