ホタルはどうやって「光る」能力を進化させたのか。この謎を解く重要な鍵となる現象を、中部大学応用生物学部の大場裕一准教授らの研究チームが発見した。名古屋大学大学院との共同で行われたこの研究成果は、英国科学雑誌Scientific Reportsオンライン版で発表された。

 ホタルの発光に深く関わるルシフェリンの合成反応を調べる中で、研究グループは単純な構造をもつ2つの化学物質を中性の水の中で数時間かき混ぜると、微量のルシフェリンができることを発見。発光反応の鍵を握る複雑な分子が、実は自然界に存在する条件下で、単純な構造の物質から組み上がることを初めて明らかにした。
このことから、ホタルの祖先が現れた約1億年前、その体内で単純なルシフェリン反応が起こったことが発光の進化のきっかけになったという予測ができる。かつてアミノ酸合成の実験から「化学物質と進化」について大きな示唆が与えられたが、今回の発見でも同じことが言えるという。

 ホタルの発光は、生物の発光反応に関わる「ルシフェリン」と発光反応を促進させる「ルシフェラーゼ」の反応により生み出される。このうちルシフェラーゼの進化の過程は解明されており、ルシフェリンの合成プロセスの解明が残されていた。大場准教授らはホタルが自身の体内でルシフェリンを合成していることまでは明らかにしていたが、なぜそういった合成プロセスが進化し得たのかについては不明であった。

 今後は現生のホタルにおける合成反応の促進プロセス解明が課題となる。またホタルの発光反応の原理は基礎医学の分野にとどまらず雑菌の検査試薬としても一般に広く利用されている。この合成法の研究を進めることでより簡便なルシフェリン製造方法の開発につながり、産業界への応用も期待される。さらに、ホタルの発光反応は高校の生物の教科書にも掲載されているが、今回の現象は理科室などの環境でも再現できることから、教育面からも有用と考えられる。

名古屋大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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