京都大学iPS細胞研究所(CiRA:サイラ)の松野邦彦大学院生(CiRA/日本医科大学消化器外科・移植外科)、長船健二教授らの研究グループは、iPS細胞より後期の前方原始線条の作製に初めて成功し、そこから後方の胚体内胚葉の誘導法を確立したと発表した。

 現在、胚体内胚葉より様々な誘導因子を用いて各種内胚葉系細胞(肺、肝臓、膵臓、胃、腸など)へ分化誘導する方法は複数報告されている。しかし、異なる誘導因子処理で作製される胚体内胚葉細胞の性質、分化指向性の差異については不明であった。

 今回、研究グループは異なる誘導法で作製される胚体内胚葉は異なる性質を持つことを解明。また、早期の前方原始線条(哺乳類の発生過程で初期に現れる溝の様な構造)より2種類の前方の胚体内胚葉が誘導できることを示し、それぞれ誘導因子なしに前方前腸(中耳、胸腺、甲状腺、気管、肺、食道などになる)と後方前腸(胃、十二指腸、膵臓、肝臓などになる)に分化する能力を持つことも明らかにした。さらに、後期の前方原始線条の誘導法を新規に確立し、そこから誘導因子なしに中後腸(小腸、大腸などになる)への分化能力を持つ後方の胚体内胚葉を誘導したという。

 本研究では、現在SOX17とFOXA2 の2つのマーカーで定義されている胚体内胚葉の細胞集団の中に3つのサブタイプがあることを示し、それらを作り分ける方法を初めて開発。また、今回誘導された3種の胚体内胚葉は、それぞれ自発的に後方前腸、前方前腸、中後腸へ分化する能力を有することが判明した。今回の方法で胚体内胚葉を作り分け、その後に従来の誘導方法を組み合わせれば、より質の高い内胚葉系の臓器構成細胞の作製が期待されるとしている。

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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