茨城大学工学部の熊沢紀之准教授らは、熊谷組グループ、日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で、放射性セシウムが植物などに移行するのを抑制する技術を開発した。粘土鉱物の一種でセシウムを吸着する「ベントナイト」を森林の傾斜地における腐葉土に散布し、セシウムの植物への再吸収を抑える。さらに、電荷をコントロールしたポリイオンコンプレックス(反対電荷を持った高分子が静電力によって自己集合したもの)を使い、降雨や雨水の流れなどを利用して、セシウムを吸着したベントナイトの低地への移行を防ぐ。

 自然の力を使って放射性セシウムの移行を抑えることで、森林生態系を破壊せず除染が行える。使用する原料は日常的に使われており、無害かつ大量に調達できるため、森林を守りながら穏やかに里山を再生できる低コストな手法として普及を目指す。熊沢准教授は「山林のセシウムを効率良く除染できるこの技術を発展させれば、里山を生活圏として取り戻せる」と期待する。

 2016年3月、政府はこれまで主に住居など生活圏の近隣の森林を対象にしていた除染エリアを、里山内にまで広げる検討方針を示した。これにより、現在、里山再生の対策の1つとして、セシウムの植物などへの移行を抑制する技術への関心が高まっている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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