慶應義塾大学医学部薬理学教室の安井正人教授らは、筑波大学数理物質系の新井達郎教授らと共同で、細胞膜の現象などの観測に有効な色素を開発した。これまで観測が難しかった細胞膜現象を定量的に測定できるようになる。既存の蛍光性色素に代わる新しいツールとして、細胞生物学研究の発展に寄与できると期待している。

 開発したのは、光第二高調波発生(SHG)を利用した観測手法向けの色素。SHGは同じ波長を持つ二つの光子がその半分の波長を持つ一つの光子に変換される光学現象で、SHGを利用した顕微鏡は、がん組織の無染色組織診断などに使われている。しかし、これまでSHG顕微鏡に適した色素がなく、色素を使ったSHG顕微鏡のライフサイエンス分野への応用は進んでいなかった。

 細胞の表面を覆う細胞膜の形や機能は、細胞の機能をつかさどる最も重要な要素。したがって、細胞膜現象を可視化・計測することは、細胞の正常な働きやその破綻の理解につながる。従来、こうした現象の観測は、主に蛍光性タンパク質や蛍光性色素を利用していたが、蛍光シグナルが強く、ほかの蛍光色素の観測を阻害してしまうなどの課題があった。一方、緑色レーザーポインターなどに使われているSHGを利用した観測は、細胞膜現象の可視化などに有効とされながらも、観測に適した色素が開発されていなかった。

筑波大学

文系、理系から体育、芸術にまで及ぶ学問を探求し、学際融合、国際化への挑戦を建学の理念とする未来構想大学。

筑波大学は1872(明治)年に開校されたわが国初の師範学校が始まりです。その後、昭和48年に移転を機に東京教育大学から筑波大学へと変わりました。現在の教育体制は9学群、23学類ですが、学生は枠組みを超えて講義を受けることができ、創造的な知性と豊かな人間性を備え[…]

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大学ジャーナルオンライン編集部

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