徳島大学大学院生物資源産業学研究部生体分子機能学分野の石丸善康助教、三戸太郎準教授らの共同研究グループは、幼虫から成虫への変化(変態)を制御する新たな仕組みを発見したと発表した。本成果は徳島大学と岡山大学との共同研究によるものである。

 幼若ホルモン(JH)は、幼虫の成長を促進し成虫への変態を抑制するホルモンで、変態にはJHの合成を抑制する必要がある。そのJH合成にはメチル基転移酵素(jhamt)が重要であることが報告されていたが、jhamtの発現調節機構は不明であった。

 今回、研究グループはコオロギを用いて、主要な細胞増殖シグナルの一つであるTGF-βシグナルの機能を検討した。TGF-βファミリー因子であるDpp/gbbの機能を抑制すると、jhmatの発現減少によりJH濃度が低下し、体サイズが矮小化したまま終齢幼虫の全段階で成虫へと早熟変態した。また、TGF-βファミリー因子であるMyoglianinの機能を抑制した個体では、jhamt発現とJH量が増加して成虫へと変態できず、幼虫のまま過剰脱皮を繰り返し、最終的に巨大な幼虫に成長した。このことから、Dpp/gbbシグナルはjhamt発現を正(ON)に制御するのに対して、Myoglianinシグナルは負(OFF)の抑制作用として機能することで、変態・成虫化が誘発されることが判明。さらに、jhamt発現を抑制する新たなJH合成の分子機構を明らかにした。

 今後は、TGF-βシグナル経路に着目した新規の害虫駆除剤(昆虫成長阻害剤)の開発を進め、また、昆虫(特にコオロギ)が新たなタンパク質源として注目されていることから、本成果をフタホシコオロギの食用・飼料生産へと応用する予定。一方、Myoglianinは筋肉形成抑制因子であり、その抑制による筋肉量増加のメカニズムの解明に貢献したいとしている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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