がん研究会がん化学療法センター分子薬理部の旦(だん)慎吾副部長と大橋愛美主任研究助手、東京理科大学理学部第一部応用化学科の椎名勇教授、エーザイ株式会社の共同研究チームは、ゴルジ体阻害物質M-COPAを用いて、進行胃がんの予後不良因子として知られるMET陽性胃がんの治療実験に成功し、ゴルジ体阻害物質が難治性胃がんに対する新規抗がん剤として応用できる可能性を世界で初めて明らかにしたと発表した。

 研究チームは以前、天然のカビ由来のM-COPA(2-メチルコプロフィリンアミド)がゴルジ体阻害活性と強力な抗がん作用を持つことを示し、M-COPAの人工合成にも成功したが、どのようながんに奏功するかは不明であった。

 METなどの受容体型チロシンキナーゼ(RTK)はゴルジ体によりプロセシングされ、がん細胞の表面に発現する。研究チームは今回、M-COPAがMETを過剰発現する胃がんの治療に応用可能として、細胞増殖に対するM-COPAの感受性を検討した。その結果、MET増幅胃がん細胞で良好な感受性を示し、METたんぱく質のプロセシングを阻害して細胞表面での発現を顕著に抑制した。さらに、MET陽性胃がん細胞株(MKN-45)をヌードマウスの皮下に移植してM-COPAによる治療実験を行うと、腫瘍増殖を有意に抑制した。また、M-COPAによる選択的な抗がん作用は、FGFR2(線維芽細胞増殖因子受容体2)を発現する難治性のスキルス胃がん細胞株でも確認。これらにより、METやFGFR2などのRTKを遺伝子増幅する胃がんの治療標的として、ゴルジ体が有望であることを世界で初めて示した。

 本研究成果により、チロシンキナーゼ阻害剤やモノクローナル抗体薬とは異なる、RTK依存がんの新たな治療アプローチとしてゴルジ体阻害剤開発の加速化が期待されるとしている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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