早稲田大学理工学術院 鳥居祥二教授らの研究グループは、国際宇宙ステーション(ISS)に設置された「高エネルギー電子・ガンマ線観測装置(CALET)」の観測データによって、ISSが夕方から夜にかけて磁気緯度※の高い地域を通過する際、数分間にわたって大量の放射線電子(約100万電子ボルトのエネルギーを持つ電子)が降り注ぐ「電子の集中豪雨」が起こっていることを明らかにした。

 「CALET」は、2015年8月にISSに運ばれた観測装置で、JAXAと早稲田大学の共同研究プロジェクト。研究チームには、国立極地研究所、東京大学宇宙線研究所など22の研究機関が参加している。

 「CALET」によって、宇宙を飛び交う非常に高いエネルギーの電子やガンマ線、陽子・原子核成分を高精度に観測することで、「高エネルギー宇宙線・ガンマ線の起源と加速のしくみ」、「宇宙線が銀河内を伝わるしくみ」などを解明することを目的としている。

 今回、CALET観測開始から4ヵ月間のデータを分析した結果、「電子の集中豪雨」の現象は、ISSが夕方から夜中にかけ、磁気緯度の高い地域を通過するタイミングに繰り返し起こっていること、また、主に、バンアレン帯(赤道上空で高度1万kmから高度4万kmに放射線電子が集中する領域)の放射線電子が豊富なときや、オーロラ活動が活発なときに発生していることも明らかになった。

 「電子の集中豪雨」は人工衛星の帯電による障害や中層大気のオゾン破壊の原因となるため、今後、研究を続け、宇宙天気予報の研究や大気化学の研究に役立つことが期待される。今回の研究成果は、Geophysical Research Letters(2016年5月7日)にオンライン掲載。

※磁気緯度とは地球の地磁気の軸を基準に決められた緯度

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大学ジャーナルオンライン編集部

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