京都大学医学研究科小泉昭夫教授、秋田大学医学系研究科野口篤子助教らの研究グループは、乳幼児に特異的な、寒さなどによって誘発される関節の痛み発作を発見し「小児四肢疼痛発作症」と命名。米国open access科学誌「PLOS ONE」誌へ掲載された。

 日本では不機嫌でよく泣く子どもを「疳(かん)が強い」と言うが、なぜ泣くのかは分かっていなかった。同研究グループでは2012年から調査を続けた結果、いわゆる「疳の強い」子どもの一部が、寒さや疲れ、悪天候などにより起こる「手足の痛み」が原因で泣いていたという事実を得た。またこの発作は思春期を過ぎると改善されること、親族にも同じ症状を経験していた人が多いことも分かった。

 次に調査に参加した子どもとその家族の遺伝子解析を行ったところ、これらの症状を訴える子どもには、痛みに関わるナトリウムチャネルをつくる遺伝子の変異が共通して見られた。さらにこの変異が痛みに関係するのか検討するためモデルマウスを作成し、痛みの感じ方を評価したところ、患者と同じように温/冷刺激に対して正常なマウスよりも痛みを感じやすくなっていたという。つまり発見された変異が痛み伝達神経を過剰に興奮させ、痛みを引き起こすということになる。この結果を受け、同グループはこの発作を「小児四肢疼痛発作症」と命名するに至った。原因もあわせて特定されたことで、今後は遺伝子診断も可能となる。

 本疾患は、2016年現在全国で23名見つかっているが、これまで見過ごされてきた可能性が高く、潜在患者の数は多いと予想される。今後は遺伝子検査による正確な診断と実態調査を進めていくと同時に、治療法開発を目指し病態解明を進めるという。さらに、「寒くなると痛みがひどくなる」「成長したら痛みがおさまった」といった環境要因との関連性を解き明かし、新しい視点に立った鎮痛薬の開発に寄与することが望まれる。

京都大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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