東北大学大学院薬学研究科は、福島第一原子力発電所事故の避難指示区域を実態調査。汚染レベルは原発からの距離には相関関係にあることがわかった。実態調査を行ったのは、同研究科ラジオアイソトープ研究教育センター 吉田浩子講師の研究グループ。2013年7 月から 2015年1月にかけて、95軒の住居で 2653の試料を採取した調査結果をまとめた。事故後の避難指示区域家屋内における放射性汚染に関する報告は初となる。

 「地域ごとの放射性セシウムによる表面汚染密度の頻度分布」では、原発から離れた飯舘村の表面汚染濃度は低く、原発に近い大熊町、双葉町、富岡町は高い数値となっている。この結果、汚染レベルと原発からの距離との間に関係があることが明らかになった。放射性プルームが通過する際に、降雨がないと乾性沈着が生じる。気密性の悪い日本の木造住宅では換気率が高く、プルーム通過時の住家への空気の入り込みにより屋内に乾性沈着が生じたと考えられる。

 また、避難指示区域(福島県飯舘村、南相馬市小高区、双葉町、大熊町、富岡町)の家屋について部屋、屋根裏、柱の表面汚染を乾式スミア(拭き取り)法でサンプリング。「地域ごとの住居内の放射性セシウムによる表面汚染密度と福島第一原発からの距離」を調べたところ、汚染レベルは原発からの距離の二乗に反比例していることが示された。一方で、屋外・屋内の空間線量率には距離との相関関係は認められなかった。

 屋外の空間線量率は、主に放射性セシウムの湿性沈着によるもので、降雨とともに湿性沈着はまだらに生じたため、原発から離れた地域でも高い沈着が観察された。これとは異なり乾性沈着は、原発から遠くなるに従って減少している。

東北大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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