宮崎大学と千葉大学の研究グループは、抗うつ薬で改善しない「社交不安症」患者に対して、「認知行動療法」が有効であることを臨床試験により明らかにした。

 「社交不安症」とは、「人との交流場面で生じる著しい不安や恐怖」を主症状とし、その恐怖によって学業・職業などの日常生活が制限されてしまう精神疾患。精神疾患の中でも3番目に多い有病率にもかかわらず、性格の問題だと誤解されやすく、医療機関を受診する人が3割程度と低いのも特徴。治療を受けずに自然に症状が改善することは稀で、「社交不安症」に関連する労働損失額は年間で一兆円を超えると推定されている。

 「社交不安症」の治療法は、抗うつ薬による薬物療法が世界的にスタンダードとなっているものの、抗うつ薬治療では7~8割の患者が十分な改善を示さないため、次の有効な治療法の確立が急務となっていた。

 宮崎大学 吉永尚紀講師と千葉大学 清水栄司教授らの研究グループは、抗うつ薬で改善しない社交不安症に対し、世界で初めて、「認知行動療法※」を行い、その有効性を臨床試験により明らかにした。対象患者42名は 「通常治療群」と「通常治療に認知行動療法を併用する群」の2群に分けられ、それぞれの治療により改善した患者は、通常治療10%に対し認知行動療法併用85.7%。症状がほぼ消失する“寛解”は、通常治療0%に対し認知行動療法併用47.6%だった。

 今回の研究成果を受け、2016年度の診療報酬改定で「認知行動療法」の対象疾患に社交不安症が加わった。研究の成果は、欧州医学雑誌「Psychotherapy and Psychosomatics誌」に、2016年5月27日付でオンライン速報版を掲載。

※「認知行動療法」は、患者が抱える生活上の問題について「認知(ものの受けとり方や考え方)」と「行動」に働きかけながら、困りごとから抜け出す方法を探していく精神療法。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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