東京都市大学工学部原子力安全工学科の牟田 仁ら研究チームは、原子力施設の安全関連システムにおける、時間経過に伴う様々な動的変化を考慮した事故発生率の定量評価手法を開発したと発表した。

 原子力施設でのリスクに関しては確率論的リスク評価(PRA)が使用される。しかし、この手法は、機器故障や人的過誤が原因となる事象を主に評価対象とし、外部(自然災害等)からの影響を詳細に評価しない。そのため、安全機能は時間変化のない定常状態であるとし、機能喪失確率の算出には平均的な喪失確率を用いて定量評価する。しかし、福島第一原子力発電所の事故を受け、このような前提条件では不十分だと考えられるようになった。

 本研究では、原子力施設の安全関連システムにおける時間経過に伴う機器故障の発生や復旧作業の進捗などの動的変化を、確率過程を用いてモデル化。その上で、原子炉停止、炉心冷却あるいは損傷炉心冷却、崩壊熱除去といった安全機能が喪失する確率を求め、事故の発生確率を定量的に評価する手法を開発した。

 この手法では、炉心損傷頻度の算出に経時的な故障確率の変化を考慮し、各事象の発生確率を時間の関数として扱う。機器の状態は正常、故障、修復、手動停止の4つとし、連立微分方程式を解いて各時刻・各状態の確率を求める。さらに、この解に基づき機能喪失状態にある機器の組合せにより炉心損傷の発生確率を経時的に求めるという。

 本手法は、地震や津波によるリスクなど経時的な影響を考慮すべき事象にも適用可能とされる。これにより、厳密なリスクの把握だけでなく、安全対策設備に対する様々な変動要因を考慮した有効性の確認といったリスク上の判断が可能となることが期待される。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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