東北大学病院漢方内科の高山真准教授らのグループが、日本老年学会が作成した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の漢方薬治療の章をまとめた。高齢者向け漢方薬ガイドラインの作成は世界で初めてという。

 東北大学によると、高山准教授らは主に後期高齢者や病弱な高齢者が使用する漢方薬について、英文と和文検索でヒットした503件の論文を詳細に調べ、内容を吟味して57件の論文を抽出。これに最近の論文を加えた計64件の論文の研究内容を評価、高齢者に有用な漢方薬のリストを作った。
それと同時に、厚生労働省から出された使用上の注意にこれまでの知見を加え、高齢者が漢方薬を使用する際に注意すべき生薬のリストも付け加えている。

 ガイドライン中には、抑肝散は認知症に伴う行動、心理症状のうち、幻覚や妄想、昼夜逆転などに有効だが、食欲減退やうつには効果がないことや、甘草は低カリウム血症、附子は不整脈、血圧低下を引き起こす毒性を本来有することなどが記載されている。

 中国を起源とする漢方薬治療は経験医学と呼ばれ、診療の根拠に乏しいと長く考えられてきた。20世紀に入って漢方薬の効果について臨床研究が進むようになり、現在ではかかりつけ医の94%以上が漢方薬を処方しているとされるが、診療ガイドラインは作成されていなかった。

 ガイドラインは、漢方薬を専門としない医師が高齢者に漢方薬を処方する際の情報源として活用できる。研究チームは正しい情報に基づいた漢方薬使用が広がることを期待している。研究結果は英文医学誌「国際的な老人病学と老年学」に掲載された。

東北大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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