大阪大学微生物病研究所・宮田治彦助教、藤原祥高助教、 伊川正人教授らは、精巣で多く発現する遺伝子を同定。ここから最新のゲノム編集技術により遺伝子組み換えマウスを作製し調査したところ、雄マウスの生殖能力に関係しない遺伝子が7割にのぼることを明らかにし、米国科学誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」電子版に発表した。

 日本を含む先進諸国では不妊に悩んでいるとされるカップルは約6人に1人といわれ、大きな社会問題となっている。近年の研究により、精巣で特異的に発現し、雄の生殖能力に必須とされる遺伝子はすでにいくつか見つかっている。今回、研究グループでは、ベイラー医科大学病理免疫学教室・Julio M. Castaneda博士らとの共同研究により、過去に発表された論文およびデータベースを解析。精巣で多く発現し、かつマウスとヒトで保存されている、生殖に重要と考えられる遺伝子を同定した。

 次に、これらについて、 低コストかつ短期間でノックアウトマウスを作製できる最新のゲノム編集技術を用いて遺伝子改変マウスを作製した結果、解析した遺伝子の7割にあたる54個が雄の生殖能力には必須でないということが分かった。一方で、この研究方法により、雄性不妊を引き起こす遺伝子も同時に発見された。このことは、遺伝子の発現様式だけで役割や重要度は判別できないということを示すもので、遺伝子改変マウスによって重要度を見極めてから研究を進めることが肝要ということになる。

 本研究で、哺乳類で多く発現するにも関わらず、男性の生殖能力に必須ではない遺伝子が7割もあること、また、欠損しても生殖能力に影響しない遺伝子も意外に多いということが明らかになったことから、生殖能力に関係のある遺伝子に的を絞ることで研究のコストなどが大幅に軽減され、そこから不妊症の原因究明や避妊ワクチンの開発が推進されることが期待される。

大阪大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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