東京工業大学の大島康裕教授らのグループは分子運動を光によって制御する技術などを駆使することにより、1秒に千億回以上のペースで回転する分子の様子を連続画像として撮影することに成功しました。今後最先端の物質研究の場でなくてはならない測定技術となるでしょう。

 分子の回転を観測するためには非常に細かい時間スケールでの撮影が必要になります。これは市販のハイスピードカメラで可能な1秒間に2千万コマの撮影ではとても足りません。すでに1秒間に10兆回照射できるレーザーを照射することによりコマ数の問題はクリアしていました。しかし分子の回転を観測するためにはまだ2つの課題をクリアする必要がありました。

1つは微小かつ高速で回転する分子一つ一つの動きを全て追うことはできません。もう一つは分子が希薄な気体状態でなくてはならない点でした。1つ目の課題はレーザーをごく短い時間、2発続けて照射することで回転の方向をそろえられることをすでに突き止めていました。もう1つの課題は第3の強力なレーザーを続けて照射することでクリアすることができました。強力なレーザーを浴びた分子は内部から複数の電子を放出します。この時、分子を構成していた原子は爆発してバラバラに飛び散ります。飛んでいく方向は爆発の直前の分子の向きと一致するので、破片を検出することで分子の向きの分布を調べることができます。このように分子が揃って回転している状態を作り出し、一つ一つ破裂させ気体の状態にして調べることで、分子の回転を動画として撮影することに成功したのです。

 こうして分子の運動の本質を視覚的に理解することが可能になりました。また、分子の運動を測定することは、分子の性質を利用するための基本にもなります。こうした研究の例えばこういった分子の回転がごく短い時間スケールでの現象を測定する際のストップウォッチ代わりとして使えるようになるかもしれません。
 
出典:【東京工業大学】毎秒1千億回に達する分子の回転運動について高解像度の動画撮影に成功

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大学ジャーナルオンライン編集部

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