福井大学産学官連携本部は、ゲーム型の金融取引診断、評価システムを開発した。中山隼雄科学技術文化財団からの研究助成とXcreed(福井県あわら市)の協力で同大学の竹本拓治准教授が制作したもので、ゲームが持つ楽しさを維持しながら、金融経済学を学べるシステムになっている。

 福井大学によると、ゲームは一定の資金を元手に資産運用で資金を増やす仕組みで、複数のプレイヤーが同時参加できるオンライン対戦ゲームの要素を持つ。時間経過とともに、円高や円安となる可能性を持つ政策金利変動、それに伴う個別株価の変動など、現実の社会と同じさまざまなイベントが起き、金利や相場が変動する。

 入札方式の不動産取引を導入し、応札で不動産を取得、運用できる。他のプレイヤーが購入意欲を示せば、売却でき、景気変動によって不動産収入が上下する。参加者の投資行動がリスク志向に加熱すればバブルが発生し、非リスク資産に投資が偏れば不況モードに突入する。
ゲームの終了後、運用結果だけでなく、プレイヤーが自身の行動の癖を確認できるよう診断と評価機能を実装している。

 金融教育における行動経済学の知見が世界的に注目を集める中、福井大学はこのシステムが行動経済学の知見を実装した先駆的な成果となる可能性があるとみている。福井大学は2016年度後期から経営学関連の授業で教材として使用する。

大学ジャーナルオンライン編集部

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