筑波大学と大学受験予備校の河合塾では、2015年より「学問本オーサービジット」という取り組みを実施している。中・高校生を対象に、筑波大学の教員が執筆した本をもとに実施されているもので、本の著者(オーサー)が学校の図書館などを訪問し、著者と読者がじかに語り合うことで学問の「ワクワク感」を体験するという企画だ。2015年11月~2016年2月に実施した同取り組みの模様が、塾運営のウェブサイト「みらいぶプラス」にて公開された。

 第一回は18歳選挙権について特集。政治学に関する本の著者である筑波大学・竹中佳彦教授が、安倍政権の進める政策と選挙行動などについて、データをもとに開成中学校・高等学校(東京都)の生徒とともに対話を行った。

 大学における「文系」の意義が議論される一方で、この分野の学問や研究が一般に紹介されることは少なく、課題のひとつとなっている。筑波大学ではこの取組みを、教育研究活動の一端を広くより深く知ってもらう場として有用と考えている。各学校を訪問する著者(=研究者)にとっても、次世代を担う若者に著作を読んでもらい、彼らと議論できることは貴重な機会であり、さらなる研究活動や積極的な成果発信につながっているという。

 またサイトで紹介された生徒たちが実際に著者と語り合う中で、抽象的と捉えられがちな政治学が実は科学的な学問であること、実際にイデオロギーを分析することで有権者の行動や意識を把握できることを知り、政治学を身近なものとして関心を抱くようになるなど、オーサービジットが学生の意識にも変化をもたらすことがわかってきている。

 今後も社会学や哲学、ネットモラル、宗教、生命倫理などについての著作を取り上げ、著者と語らうことで理解を深め、自身の未来と重ね合わせていく様子を、動画とともに順次紹介していく予定。

 大学と民間教育機関が連携したこの取組みは、高校教育の改革が進む中で、新たな高大接続のあり方を提案するものでもある。中高生の読書に対する興味・関心を高めるとともに、進路選択や将来設計を考え、視野を広げる場としても大いに役立つものと期待されている。

筑波大学

文系、理系から体育、芸術にまで及ぶ学問を探求し、学際融合、国際化への挑戦を建学の理念とする未来構想大学。

筑波大学は1872(明治)年に開校されたわが国初の師範学校が始まりです。その後、昭和48年に移転を機に東京教育大学から筑波大学へと変わりました。現在の教育体制は9学群、23学類ですが、学生は枠組みを超えて講義を受けることができ、創造的な知性と豊かな人間性を備え[…]

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大学ジャーナルオンライン編集部

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