防衛省は、軍事転用が可能な技術開発を大学の研究所らに委託することを決め、研究費支給先の公募を始めました。防衛省が防衛産業以外の研究者に研究費を支給するのは今回が初めて。軍事転用できる研究分野が広がっているためですが、日本の大学はこれまで軍事研究と一線を画すところが多かっただけに、波紋を投げかけています。

防衛省によると、研究テーマは①防衛装備の能力を飛躍的に向上させる技術②新しい概念の防衛装備開発につながる技術③注目される先端技術の防衛部門への適用技術―の3点を挙げ、具体的課題としてマッハ5以上の超音速飛行を可能にするエンジンの基礎技術、赤外線の放射率を低減する素材、空中衝撃波の可視化、複数の無人車両運用制御など28項目を列挙しています。研究成果は原則として公開され、研究者は論文発表や商品への応用ができます。

公募対象となるのは国内の大学、高等専門学校、独立行政法人、民間企業に所属する研究者で、8月12日に締め切って10件程度の研究を選びます。研究期間は3年以内。1件当たりの研究費は年間最大3,000万円で、研究費とは別に旅費交通費、備品購入費など関連経費も研究費の30%を限度に支給されます。防衛省は2015年度、3億円の予算を確保しています。文部科学省など他省庁の研究開発補助金は200~300万円程度が多いだけに、破格の高額といえます。

防衛関係の研究開発について、防衛省は長く防衛産業に任せていましたが、軍事転用が可能な研究分野が拡大してきたことから、大学や研究機関との技術交流に踏み切りました。研究開発や調達を管理する防衛装備庁が近く発足することや、安倍内閣が豪州など外国との武器共同開発、武器輸出に力を入れていることも関係しているようです。

しかし、東京大、京都大をはじめ、軍事協力に否定的な大学が国内に多数、存在しています。自衛のための研究だとしても、自衛の範囲が明確でないなどの課題も多く、大学側がどこまで協力に応じるかは未知数の部分が大きいといえます。

出典:http://www.mod.go.jp/trdi/funding/h27koubo_honsatsu.pdf” target=”_blank”>【防衛省】平成27年度安全保障技術研究推進制度公募要領(PDF)

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大学ジャーナルオンライン編集部

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