京都大学と福岡大学などの共同研究チームは、ガンマアミノ酪酸(GABA)を識別し情報を伝達するタンパク質GABAA受容体(※)を蛍光センサーに改変し、特定の受容体に作用する薬剤を探索する新たな手法を開発した。

 受容体は細胞表面にあり、細胞外の情報物質を認識して特異的に結合し,その情報を細胞内部に伝える構造体の総称。GABAは脳活動に抑制性に働く神経伝達物質で、このGABAを認識して情報を伝達するのがGABAA受容体と呼ばれる。この受容体は、異常が生じると不安障害や睡眠障害、うつ病や統合失調症などの多くの精神疾患に関係することから、向精神薬の創薬標的とされる。しかし、GABAA受容体には複数の結合部位が存在し、現在用いられている薬剤はこれら複数の部位に作用して副作用を生じるという問題があり、特定のGABAA受容体にしか作用しない薬剤の開発が求められていた。

 研究グループは、独自に開発した特定のタンパク質に蛍光の目印をつける手法を用い、GABAA受容体の薬剤結合部位であるGABA結合部位とベンゾジアゼピン(GABAの作用を強める薬剤)結合部位に対する蛍光センサー化に成功した。これにより、これら特定の結合部位に作用する薬剤に反応して蛍光させることが可能になった。さらに、このセンサー手法により、1280種類の化合物の中から2種類の新規GABAA受容体作用薬(PPTとTBB)を発見した。

 今回構築した蛍光センサー技術は、副作用のないGABAA受容体作用薬の開発につながる。また、発見した2つのGABAA受容体作用薬は、今後新たな向精神薬候補として期待される。さらに、今回の成果は、構造情報が不十分で合理的な薬剤設計が難しかった他の細胞膜受容体を標的とした薬剤探索にも幅広く応用できると期待される。

※GABAA受容体のGABA「A」は、正式には下付き文字で表記する。

京都大学

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