東京大学の香取秀俊教授らの研究グループは、相対性理論を応用し、2地点に設置した「光格子時計」の時間差の測定によって2地点間の標高差を5cmの精度で測定することに世界で初めて成功した。

 光格子時計とは、レーザー光を干渉させて作り出した光格子(光の波長より小さな多数の領域)に原子を1つずつ収め、別のレーザー光を当てて共鳴周波数を測定する原子時計。香取教授は2014年に、この時計で10の18乗分の2秒の精度(160億年に1秒の誤差。18桁の精度という)を実現している。

 一方、アインシュタインの一般相対性理論によると、重力が強い(標高が低い)場所で時間が遅れるという。この極めてわずかな遅れの測定は、18桁の精度の時計によって初めて可能になり、2台の時計の高さに数cmの差があれば、時間差の計測ができる。これを応用すれば、時間差の計測により、遠隔地の標高差の測定(相対論的測地)が可能になる。

そこで研究グループは、約15km離れた東京大学(東京都文京区)と理化学研究所(埼玉県和光市)に光格子時計を設置して光ファイバーでつなぎ、遠隔地比較を実施。東大の時計の方がわずかに遅かったことから、計算の結果2地点の標高差15m16cm(誤差5cm)を算出した。

現在研究グループは光格子時計の実用化のため、一層の高精度化と可搬化、自動運転、遠隔制御、長期的な信頼性の向上に取り組んでいる。今後、光格子時計を各地に設置、「量子水準点」を設けて接続して「時計のインターネット」を構築すれば、火山活動による地殻変動の監視や、GNSS(全球測位衛星システム)と補完的に利用できる超高精度な標高差計測システムの確立など、安全安心な社会基盤となる可能性があるとしている。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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