株式会社ベネッセホールディングスの社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」では、2016年3月、全国の「専門学校」(専修学校専門課程)の卒業生を対象に、専門学校での学びと社会への移行に関するふりかえり調査を実施。その調査結果を公表した。

 現在、大学進学は卒業後の雇用やその先の安定した人生を保証するものではなくなってきているが、高校生にとって、大学以外の進路を選択した場合、その先にどのような学びや職業が存在しているのかを知るには、情報が少なく進路を検討しづらいのが現状。

 このような現状を背景に、専門学校を卒業した学歴を持つ20代から40代の社会人3,771名を対象とした専門学校における学びと卒業後の職業生活の状況を明らかにする調査を実施した。

 調査によると、専門学校卒業者の約8割が学びが充実していたと回答し、学びの充実度は大学卒業者と同等(2015年「大学での学びと成長に関するふりかえり調査」より)であった。職業教育を通じて協調性や勤勉性など「非認知スキル(粘り強く学びに向かう力や仲間と協力して取り組む姿勢など)」の向上を感じている卒業者は約7割。

 現在の仕事への満足度では、約65%が現在の「働き方」「仕事上の地位」「仕事上の人間関係」に満足も、年収面の満足は4割にとどまっている。仕事の「定着率」は、医療分野(81.5%)や教育・社会福祉分野(69.0%)で高く、商業実務分野(34.2%)や文化・教養分野(21.8%)で低く、資格系と非資格系で明確な差がみられる。

 「正規雇用率と平均年収」は、資格系の衛生分野(41.6%、228万円)は低く、非資格系の商業実務分野(61.6%、307万円)は高いなど、専門分野による差が大きい。「平均年収」を大学卒業者(全体)と比較すると、約100万円の差が確認された。

 ベネッセ教育総合研究所では、今後さらに分析をすすめ、2016年10月頃に調査結果をまとめたレポートを掲載する予定。

参考:【株式会社ベネッセホールディングス】専門学校での学びと社会への移行に関するふりかえり調査

大学ジャーナルオンライン編集部

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