千葉大学病院は、世界で初めての遺伝子治療研究となる「家族性LCAT欠損症」を対象とした第一種再生医療臨床研究(※)の実施に関して厚生労働省から承認を得たと発表。千葉大学発バイオベンチャーのセルジェンテック株式会社と共同で、患者を対象とした臨床試験を進める。

 LCATは血漿中に存在する酵素。家族性LCAT欠損症とは、このLCATを作り出す遺伝子に異常が生じ、LACT蛋白が産生できなくなる遺伝性疾患だ。LACTが働かなくなると、血液中の善玉コレステロール(HDL)が著しく減少し、余分なコレステロールが腎臓や目などに蓄積し腎機能障害、角膜混濁、溶血性貧血などの障害を起こす。比較的まれな遺伝疾患で治療法が確立されておらず、2015年7月に難病指定された。

 脂肪細胞はヒトの細胞の中でも特に寿命が長く、またがん化などの変化も生じにくい。千葉大学病院はこの点に着目し、難病を治療するために蛋白を分泌するよう加工した「治療用遺伝子導入ヒト脂肪細胞」の実用化研究を進めてきた。今回、臨床研究で実施される治療法は、家族性LCAT欠損症の患者の脂肪組織から採取した脂肪細胞を体外で培養し、遺伝的に欠損しているLCAT遺伝子を導入、LCAT蛋白を造り出すように加工したのちに患者へ再び移植し、正常なLCAT蛋白を持続的に体内へ補充するもの。

 LCAT欠損症はこれまで根本的な治療法がなかったが、今回、この治療法の実用化へ向けた臨床試験により大きなステップを踏み出せるとしている。また今後、家族性LCAT欠損症のみならず血友病やライソゾーム病など多くの難病治療法開発に繋がる技術として期待される。

※第一種再生医療臨床研究 平成26年11月25日より施行された再生医療等安全性確保法において最もリスクが高い「第一種」として特定認定再生医療等委員会および厚生労働省の承認を受け、厳格な基準を満たした再生医療の臨床研究であることを指す。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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