東北大学と日本電気株式会社(NEC)の研究グループは、特殊な数体系に基づく演算圧縮法を発見し、消費エネルギーをこれまでより50%以上削減した世界最高効率のAES暗号処理回路の開発に成功した。

 現在インターネット通信には通信機器内部で暗号技術が利用されている。特に近年注目を集める「モノのインターネット」(IoT:Internet of Things)は、無数の機器(センサーと通信機器を備えたあらゆる物)がネットワーク接続されるため、悪意の攻撃に対する暗号技術の必要性は大きい。

 現在AESと呼ばれる暗号方式が世界標準化しつつあるが、複雑な計算は消費エネルギーが大きく、IoT機器には電池などで動くエネルギー制約の大きい機器が多いため、AES暗号処理の省エネルギー化が実用上極めて重要とされていた。

 研究グループは、AES暗号アルゴリズムがガロア体という特殊な数体系に基づく計算として表現されることに着目した。今回考案した新演算方式では、入力の数表現を別の数表現に変換することで、複数の計算を一度に計算し、その後、数表現の逆変換を行うことで、通常の計算と同じ出力を得られる。また、使用する回路素子の大幅削減も可能。さらに、新方式に基づくAES暗号処理回路を設計・開発し、従来の世界最高の回路と比較して、半分以下(45%程度)のエネルギーで1回の暗号処理が可能になった。開発したAES暗号処理回路は、暗号化と復号の両方が実行可能であり、SSLやTLSといった世界標準の通信方式に最も適した構成だという。

 今回の成果により、エネルギーの制約が大きい情報通信機器への暗号技術の搭載が促進され、次世代ネットワークであるモノのインターネットの安全性を大きく高めることが期待される。

東北大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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