岡山大学の仁科勇太准教授らの研究グループは黒鉛から酸化グラフェンを大量に合成する方法を開発しました。黒鉛は炭素原子から成るシートが積み重なってできていますが、このシートを1層だけはがしたものがグラフェンです。2004年に発見されるとその頑丈さ、低電気抵抗、磁性、触媒能などから様々な先端技術を切り開く材料として注目を集めてきました。さらに種々の原子が不純物として混ざったり、シート表面に種々の物質が結合することで様々なバリエーションが現れ、応用の幅が広がることが期待されています。こうしたグラフェン関連物質の利用に関する研究が非常に盛んに行われるのに並行して生産技術も研究がすすめられています。

グラフェンのバリエーションの中でも最も研究されているのが酸化グラフェンといわれる、酸素などが表面に結合した物質です。電子部品内の電極やセンサーの材料などとして利用できるとされています。これらの技術が確立されても、実際に利用されるには安定した品質のものを大量に生産することが必要になります。従来の酸化グラフェンの合成方法では一度に100g程度を作るのが限度でした。新しい方法では硫酸に入れた黒鉛に酸化剤などを加え加熱する方法です。酸化剤を加えるタイミングやその量を調節することで、500g以上の酸化グラフェンを作ることに成功しました。

先端技術の研究では貴重な材料を高額で手に入れることで成り立つ研究も少なくありません。しかし、その研究によって技術そのものが確立されても、世の中に普及するかどうかは材料をいかに安く、大量に、安定した品質で供給できるかにもかかっているのです。今後はさらなる大量合成を目指して改良を続け、キログラム単位での合成を目指すとしています。

出典:【岡山大学】従来の5倍 酸化グラフェンの大量合成に成功

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大学ジャーナルオンライン編集部

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