高額の授業料を支払い、旧来型の大学教員による一方通行のつまらない授業を受けるために4年間も通学。長期間受講したにもかかわらず世界では通用しないラーニング・アウトカム(大学での学習成果)。そんな日本の大学学位を得るという選択肢。もう一方は、多額の学費と多額の生活費を投資し海外の大学に留学するという選択肢。はたまた、世界トップクラスの教員の興味あふれる講義をINTERNET EDUCATIONで言語の壁もなく、いつでもどこでも無料で受講でき、一流の世界各国の大学生と教員と共にWEB上で、あかたもそばにいるかのように議論し学びを深め、世界一流教育の修了証書および単位修得、そして学位認証がなされる大学という選択肢。

これからの世代の若者はどちらの進学先を選ぶのだろう。そして企業は、どちらの教育を受けたアウトカムの学生を採用したいのだろう。すでにINTERNET EDUCATIONの恩恵を受けているのはアメリカを代表とする欧米先進国と発展途上国の若者である。そして今後の世界を牽引していく国家は、若者を多く抱えた発展途上国である。ICTの進化ととともにグローバル化が急速に進展していき、INTERNET EDUCATIONで学び成長した有能で多様な国籍の人材がWEB上で協働していく社会がこれからは当たり前になってくる。世界が急激に変わってくる中で、日本の知識伝授型に偏った従前の教育では、グローバル社会で活躍できる人材が輩出できるとはとても思えないのである。

「大学改革の現状とその行方 第1回」では、18歳人口の減少は、定員が小規模の大学から淘汰の可能性が高いことを示唆した。今回示した科学技術の発展と世界の大学の進化は、大規模そしてトップクラスの日本の大学にとってさえ外圧となりうる驚異であることを示している。

つまり、日本の大学は、双方向から淘汰の圧力がかかっていることになる。 国内の18歳人口の減少というマーケットの急激な縮小だけでなく、INTERNET EDUCATIONや科学技術の発展によって、海外の進化が進んだ最高教育の波が日本に押し寄せ、日本の大学の存在価値を奪ってしまう。これが近未来に起きるであろう日本の大学淘汰のシナリオだ。

「大学改革の現状とその行方 第3回」では、全く新たな切り口で人材育成方法を革新する世界トップクラスの難易度の大学が開設された。その報告をするとともに様々な外圧を想定した大学改革の方向性について話を進めていきたい。

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寺裏 誠司

・株式会社学び 代表取締役社長
・一般社団法人アクティブ・ラーニング協会 理事
・リクルート進学総研 客員研究員
これまで、コンサルティング支援した大学・短大・専門学校は250校以上、支援高校2,500校の実績。講演・セミナー・研修・大学非常勤講師など200件、対象3万人以上の実績を有する。
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