「学術とスポーツの真剣味の殿堂たれ」の建学の精神で、全国でも18校しかない、10学部以上を擁する私立大学の一つである中京大学。国際英語、国際教養の2学部はもちろん、全学部の学生が利用できる国際センターによるサポート体制も充実し、大学全体でグローバル人材育成に力を入れています。

2014年の60周年を期に策定された「中京大学長期計画 NEXT10」の5つの骨子の一つが教育で、そこでは「自ら考え、行動することのできるしなやかな知識人を育成する」ことを掲げています。卒業年度でのユニークな『教養探究ゼミ』を自ら担当し、牽引役を務める安村仁志学長に、今、なぜ教養なのか、またゼミの狙いや背景について、国際教養学部の取組の一端についてもお聞きしました。

 

《ハリキツネ》の五文字から始まる

大学とは何か、そして教養とは――大学進学を目指す高校生や保護者だけでなく、学生も卒業生も一度ならず考えるこの問題に対して、私はよくハリネズミとキツネの譬えを引き合いに出します。古代ギリシャの詩人のことばを援用し、キツネはたくさんのことを知っている人、つまり教養溢れる人、ハリネズミはとがった針を持つことから、一つだけ大きいことを知っている人、つまり専門に長けた人ということにたとえます。大学とは教養教育と専門教育によってこの両面を身につけるところという意味で、学生に《ハリキツネ》を目指すよう話しています。

ちなみに教養とは、古代ギリシャ語ではパイデイア、ヨーロッパ中世では自由7科、リベラルアーツのことで、元々は《自らを自由にする、つまり自らの職業から自由になるための知識や技芸》のこと。英語ではカルチャーで、カルティベート(cultivate)「耕す」を語源とすることから、頭と心を耕すものとされます。

このような譬えも織り交ぜながら行われるのが、私が提案して始まった『教養探究ゼミ』。数年前から、一部、就活に臨む3年生も交えて前期に講義形式で行っていた内容を、《卒業前に大学での学びを締めくくり、いざ社会へ》のタイトルが示すように、4年次の最終セメスターにゼミ形式で行います。また所属学部を問わないため、様々な学生が集まり、多種多様な意見が飛び交います。

具体的には、大学と教養のほか、人間とは何かについても考え、その上で自らが4年間で学んだことを集約し、それをこれからの人生にどのように活かしていくのかについて、ゼミ形式で考えを深めてもらいます。大学での学びを、生きる力にどう結び付けていくのか、いわば教養の根幹に迫るのです。

探究するのはあくまでも学生自身ですから︑私は関心のある分野からそのきっかけやヒントとなる素材を選び、それらをできるだけ簡潔に、しかも生涯心に残るようなキャッチーな造語やフレーズにして問いかけるだけ。ハリキツネもその一つです。

※ ヨーロッパ最古の総合大学、ボローニャ大学では、神学、医学、法学が専門で、学生はその前に7つの科目を学ぶこととされた。言語能力に係わる文法学、修辞学、弁証法(論理学)の3科と、算術・幾何、天文、音楽の4科。大まかにいうと前者が今の文系、後者が今の理系に当たる。
 

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中京大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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