2020年夏の開催まで約1,000日となった、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。実践女子大学では、2014年6月に同大会の組織委員会と大学連携協定を締結したことや同大学の大学教育研究センター深澤晶久特任教授が、組織委員会の文化教育委員会の委員に就任したことなどをきっかけに、同大学の学生が主体となって、オリンピック・パラリンピックをさまざまなアプローチで考え、盛り上げていくための活動に取り組んでいます。

 主な活動としては、全国各地から高校生を招待して、オリンピック・パラリンピックについて一緒に考える「高校生と一緒に考えるフォーラム」や、女子大生の視点を大切に、オリンピック・パラリンピックをどう盛り上げていくかを他大学と合同で徹底的に議論する「女子大生フォーラム」、そして同大学の共通教育科目である「国際理解とキャリア形成」の中で行われている、オリンピック・パラリンピックをテーマにしたアクティブラーニング型の授業などが実施されています。

「学ぶ」と「働く」をつなぐための授業

 中でも、同大学大学教育研究センターの深澤晶久特任教授が担当している(日野キャンパスは眞鍋清嗣特任教授が担当)「国際理解とキャリア形成」の授業には、想定していた定員の倍以上の学生が履修を希望。意欲的な学生たちによるユニークな取り組みが、2014年から毎年行われています。

 「『国際理解とキャリア形成』の授業では、前半は『机上の世界一周旅行』というテーマで、世界各国の旬なニュース、政治や経済、社会、文化、女性の働き方などについて共に学んでいます。後半は『オリンピック・パラリンピック連携講座』。2020年に向けて、『実践女子大学の学生として自分がこの大会に関わるとしたら、どのようなことができるか?』という観点で、毎年テーマを変えながら取り組んでもらっています」と深澤特任教授。

 2017年のこの授業では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のゴールドパートナーである株式会社アシックスと連携。同社が製作するボランティアスタッフが着用するウェアのマーケティング、というテーマのもと、学生たちは商品開発、企画・広報、販売企画のいずれかを自分たちが担当するという想定で課題に取り組みました。

 商品開発を担当した学生からは、ボランティアウェアに植物由来の素材を採用して環境に配慮したり、デザインに日本独自のモチーフを取り込んだり、暑熱対策グッズを取り入れたり、といったアイデアが提案されました。企画・広報を担当した学生は、大会のメインスタジアムとなる新国立競技場でのボランティアウェア発表会の開催や、アパレルメーカーとしてのアシックスの認知度を高めるための施策などを提言。販売企画を担当した学生からは、ボランティアマインドの醸成を通じて同社のファンを増やしていくための施策や、大会終了後にボランティアウェアをどのように活用していくべきか、といったプレゼンテーションが行われました。

 実践女子大学におけるこうした取り組みの狙いは、学生の中に社会に主体的に関わっていく意識を醸成すること。キャリア教育を基盤にしながら、学生が自ら考え、行動を起こし、目的を達成するために努力していけるような場を提供する。まさにアクティブラーニングならではの取り組みです。「学生たちには、彼女たちの新鮮な目線で自由に考えてもらった上で、できるだけ彼女たち自身の力でやり遂げてもらえるように環境を整えています。ボランティアウェアをテーマに取り上げた時は、単純に楽しそう、面白そうといったアプローチではなく、なぜアシックス社が大会のゴールドパートナーになっているのか、ボランティアウェアには何が求められているのか、マーケティングの領域にまで踏み込んで真剣に考えるように伝えました。

 私が目指しているキャリア教育は、『学ぶ』と『働く』をつなぐことです。私が企業に勤めていた時に感じていたこと、すなわち採用や研修などの場面でこれからの社員に必要なものは何かを考え、大学のキャリア教育で実現させたいと思い、従来のキャリア教育を一歩進化させたい、産学連携のあり方も変えたいと思い、授業内容を構築しています。これからも、学生のポテンシャルを引き出し、主体性を磨くための場を提供していくことがMISSIONであると考えています。」と、深澤特任教授は話しています。

 

社会とのつながりの中で生まれる好循環

 このほかにも実践女子大学では、外部の企業や著名人の方々と連携した新しいスタイルのキャリア教育を実施しています。クレジットカード会社の株式会社クレディセゾンとの取り組みでは、同社の社員研修の中で、企業理念や働くことのやりがいなどについて考えるプロセスを学生たちにも経験させ、双方に新鮮なフィードバックを提供。また、元スターバックスコーヒージャパンCEOでリーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏と共同代表の鷲見健司氏を講師として招聘した、二泊三日の合宿型キャリア教育講座も開催しています。

 「今後期待しているのは、本学の卒業生たちが社会で活躍して、その中で得たものを大学にフィードバックしてくれることです。私は、“大学の価値は卒業生が決める”と話しています。彼女たちがロールモデルになることが、一番説得力がありますから」と深澤特任教授。大学での学びを社会で実践して、それを再び大学に還元する。実社会とのさまざまなつながりの中でポジティブなサイクルが生まれ、続いていくことが期待されています。

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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