従来にない大胆な発想で日本発の革新的な技術開発を進めるムーンショット型研究開発制度の概要が、首相官邸で開かれた総合科学技術・イノベーション会議で報告された。業務を進める研究推進法人は国立科学技術振興機構と国立新エネルギー・産業技術総合開発機構とし、両法人に推進に向けた基金が設置される。

 内閣府によると、新事業は内閣府、経済産業省、文部科学省が合同で実施する。開発のテーマは世界中の人々の関心を引く野心的な内容で、これまでの議論の中で
・仮想現実の映像の中に故人を登場させ、自然な会話をする技術
・重症患者の活動を停止させ、治療態勢が整うまで延命させる技術
・台風の進路を洋上で操作し、日本上陸を回避する技術
-などが具体例として想定されている。

 推進の役割分担は総合科学技術・イノベーション会議が目指すべき目標を設定、経産省と文科省が研究開発構想を策定する。内閣府がこれを受けて関係府省連携調整会議(仮称)を設け、政府が一体となって事業推進できる態勢を組むとともに、中間評価、終了評価を実施。研究推進法人が実際の研究に着手する。

 欧米諸国や中国は破壊的なイノベーションを可能にする革新的な技術開発にばく大な投資をしており、国際競争が激化の一途をたどっている。こうした国際競争を生き抜くために計画されたのがこの制度で、日本発のイノベーションが世界を席巻することを目指している。

参考:【内閣府】総合科学技術・イノベーション会議(第41回)議事次第>ムーンショット型研究開発制度の基本的考え方について(案)

大学ジャーナルオンライン編集部

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