東京都品川区は、所得制限のない給付型奨学金を区内在住の理系大学生向けに創設し、2026年4月の入学予定者を対象にした申請を2025年9月末まで受け付けている。給付額は国立大学授業料の標準額に当たる年間54万円で、選考による奨学金給付候補者は100名。著しく成績が落ちるなどして不適格と判断するケースを除き、卒業までの4年間(医学部等は6年間)に給付予定で、6年間の場合は最大324万円の給付となる。
申込手続きは電子申請と応募書類提出の両方が必要で、電子申請締切は2025年9月30日23時59分、応募書類提出締切は郵送の場合2025年9月30日消印有効、品川区役所へ持参する場合2025年9月30日17時までとなっている。電子申請の入力には「奨学生申請書」のほか「学修計画書」や「品川区内における地域貢献活動計画書」が必要。応募書類は、「奨学生推薦書」「成績等を証明する書類」「申告書」「提出書類一覧表」などが必要となる。
対象となる理系学部は、医療系(医学・歯学・薬学・看護学等)や理工農系(理学・工学・農学)となっており、文部科学省「学校基本調査」の「学科系統分類表」で確認することが可能。生計維持者(保護者等)が引き続き2年以上品川区内に住所を有することや、高等学校等を卒業見込みまたは卒業後2年以内であること、学業成績が特に優れていること(5段階評価で平均4.0以上)、品川区内における地域貢献活動に定期的に参加できることなどが応募条件となっている。
2025年4月1日時点の品川区の人口は、41万4581人(品川区地域振興部地域活動課統計係)。うち17歳の人口は2712人で、2024年度学校基本調査による東京都の大学進学率(77.9%)、理工農保健系学部入学者比率(32.3%)で計算すると応募対象は約682人と予測される。奨学金給付候補者は100名のため、奨学金が給付される確率はかなり高いと言える。
品川区は、所得制限のない給付型大学奨学金を創設した目的として、保護者等に一定の所得があっても学費が高額な医学部や理系学部などでは進学を諦めざるを得ない場合があり、保護者等の経済状況にかかわらず、希望する子どもが大学に進学できるようにし、地域社会に貢献する人材の育成を図るためとしている。
参考:【品川区】品川区給付型大学奨学金募集案内(PDF)
品川区 年齢別人口報告表(PDF)
【文部科学省】「学校基本調査」学科系統分類表