新型コロナウイルスの感染拡大による授業のオンライン化で、学費の減額や一部返金に踏み切った私立大学は4%だったことが、日本私立大学連盟がまとめた2020年度奨学金等分科会の報告書で明らかになった。国の学生支援緊急給付金で外国人留学生に対し、成績基準で審査が求められている点については、国の方針に従った大学は半数に満たなかった。
調査は「新型コロナウイルス禍での学生への経済援助施策等に関するアンケート」として全国125校の加盟大学を対象に2020年11~12月にエクセルによるデータ回答方式で実施した。
それによると、遠隔講義を受ける環境を整えるための支援は、通信機器の貸出・給付や給付金・支援金の一律支給など約9割(89%)の大学が実施しており、春学期に困窮学生等支援があった大学は、83%(104校)だった。
学費の減額や一部返金をした大学は5校。内容はスクールバス維持費の春学期分を秋学期分に振り替え、施設拡充費の5万円減額、実験実習費の4割減免など。学生数が1万人を超すマンモス校では実施されず、大学の所在地では大きな差が見られなかった。
国の学生支援緊急給付金は外国人留学生に対し、原則として成績で審査することが求められているが、これを守ったのは全体の42%に当たる53校で、守らずに大学側の総合的な判断で決定した38%、48校と大きな差が出なかった。地域別でみると、首都圏の大学はちょうど半数が国の方針に従ったが、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県の大学は42%、その他の地域の大学は31%にとどまっている。