大阪大学大学院の足立晴彦大学院生(博士課程)らの研究グループは、ずんぐりと太いカブトムシの幼虫が、固い地面にどうやって穴を掘るのかを世界で初めて明らかにした。
カブトムシの幼虫は、土の中に住んでいるため、移動するには、穴を掘る必要がある。しかし、カブトムシの幼虫は、見るからに穴を掘るには不向きな形。ミミズのように細ければ、蠕動運動を繰り返して、キリのように土に穴をあけることができる。また、モグラのように前足を前方に突き出すことができれば、土を削りながら掻き分けることが可能だ。しかし、カブトの幼虫は体が非常に太く先端部の頭も丸くて肢も短いため、ミミズやモグラのような掘り方はできない。
研究グループは、地面の中の動きをリアルタイムで観察でき、土の固さも自由に変えられる装置を自作し、カブト幼虫の穴掘り技術を観察した。その結果、幼虫は地面が柔らかいときは、ミミズのように蠕動運動しながら直線的に掘り進むが、固い地面に当たると、でんぐり返しのような連続的な回転運動により土を削りながら掘り進むことを見出した。
今回の結果は、これまで、あまり研究が進んでいなかった土の中での昆虫の動きが、意外に知性的であり、バラエティに富んでいることを示し、動物行動学の分野に新たな光を投じるものという。研究者は「多くのカブトムシファンの子供たちが、より、生き物に興味を持ち、しかも、自分でも面白い発見ができるかもしれない」と語っている。
論文情報:【Scientific Reports】Pivot burrowing of scarab beetle (Trypoxylus dichotomus) larva