千葉大学と千葉県が申請していた「千葉ヨウ素資源イノベーションセンター」の設立が、2016年度の文部科学省「地域科学技術実証拠点整備事業」に採択された。千葉特産のヨウ素を活用し、地方創生を図るのが狙いで、新センターは千葉市稲毛区の千葉大学西千葉キャンパス内に整備される施設内に建設される。
ヨウ素はX線造影剤や消毒薬など医療分野をはじめ、農業、食品分野などに幅広く利用されているが、日本が全世界の産出量の28%を占めている。日本にとって海外へ輸出できる唯一の元素で、国内産出量のうち75%を千葉県が占める。
千葉大学によると、新センターでは
■次世代太陽電池用のヨウ化鉛の安定供給
■導電性に優れた有機薄膜の開発
■放射性ヨウ素薬剤によるがん診断、治療の新展開
■新規造影剤合成法の開発
■有機ヨウ素化合物を利用した高機能ポリマーの開発
-などを進め、ヨウ素資源の高機能化を図る。
ヨウ素はかん水と呼ばれる水溶性天然ガス不随水から採取されるが、採取可能年数は600年と見込まれるほか、くみ上げによる環境問題もあり、増産が難しい状況。これを解決するため、かん水からのヨウ素抽出効率の改善や、ヨウ素のリサイクル率向上も研究する。
千葉県から輸出されたヨウ素は製造原料で、海外の企業がそれを基に高付加価値製品に加工、販売し、日本の企業が海外製品を輸入しているのが現状。原料輸出から製品輸出に切り替え、千葉県をヨウ素産業の拠点に育て、地方創生を図る目標を掲げている。