奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科の太田淳教授、竹原浩成特任助教は、光学機器のタムロンと共同で超広角撮影が可能な眼底カメラを開発した。研究成果はオンラインで開催された第82回応用物理学会秋季学術講演会で発表された。
奈良先端科学技術大学院大学によると、研究グループはタムロン研究開発センターが設計、試作した眼底カメラ用の超広角レンズを、奈良先端科学技術大学院大学で開発された近赤外光利用の眼底カメラに組み込んだ。
実際に撮影したところ、超広角の眼底撮影に成功、撮影の視野角が180度であることが分かった。一般に健康診断で使用される眼底カメラの視野角は約60度しかなく、眼底の一部しか撮影できなかったが、新しい眼底カメラは瞳孔を広げる点眼液を使うことなく、広範囲の眼底像を取得できる。
日本人の主な失明原因は緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症。いずれも失明を防ぐには早期発見が必要となり、眼底検査が有効な手段となっている。新しい眼底カメラを活用すれば、疾病の早期発見が可能になるとして注目を集めそうだ。
研究グループは今後、医学部を持つ大学と連携して医学的な価値を確認したうえで、眼底カメラメーカーと協業して製品化したい考え。
参考:【奈良先端科学技術大学院大学】タムロン、奈良先端科学技術大学院大学と超広角眼底カメラを共同開発 広範囲180度の眼底撮影を可能にし、疾病の早期発見につなげる(PDF)